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鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
JAERI-Research 2005-014, 170 Pages, 2005/06
大型非定常試験装置(LSTF)を使用したROSA-V計画において、加圧水型原子炉(PWR)の小破断冷却材喪失事故(SBLOCA)模擬実験を実施し、高圧注入系(HPI)不作動時に重要なアクシデント・マネージメント(AM)策の炉心冷却効果を調べた。LSTFはウェスティングハウス社の4ループPWR(3423MWt)を実高,容積比1/48で模擬する装置である。この実験(SB-PV-03)では、PWRコールドレグ0.2%破断に相当する原子炉容器底部計装管10本破断を模擬し、HPIの不作動と蓄圧注入系(AIS)からの非凝縮性ガス流入を想定し、定率-55K/hでの2次系減圧と30分間の補助給水(AFW)作動を運転員のAM操作として実施した。その結果、これらのAM操作はAIS注入終了圧力1.6MPaまでは1次系減圧に効果的であったが、その後、非凝縮性ガスが流入したため減圧効果は低下した。このため低圧注入系(LPI)の作動開始が遅れ、破断口では水流出が継続していたので全炉心露出に至った。本報ではこれらの熱流動現象に加え、1次系保有水量の推移及びAM操作と関連づけた炉心加熱挙動、1・2次系間の熱伝達及び1次系ループへの非凝縮性ガス流入等に関する解析結果について述べる。
鈴木 光弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 29(6), p.547 - 558, 1992/06
ウエスチングハウス・タイプの加圧水型原子炉を対象に考案した新しい一次系冷却材保有量検出方法について、原研の大型非定常試験装置で実施した種々の小破断冷却材喪失事故実験に適用した結果をまとめた。この方法の特徴は、炉心冷却不全事象(ICC)の発生前に一次系冷却材の減少を検出できる点にある。一次系冷却材保有量の検出は、全ての一次系ループにおいて蒸気発生器出口プレナムを含む垂直部分の水位を測ることにより、かつ、この水位と一次系冷却材保有量とを関係づける簡単な関係式を用いることにより、行なう。主たる検出範囲は、初期冷却材容積の30~60%である。既存の原子炉容器水位測定システムの持つ制約についても明らかにした。
鈴木 光弘
Proc. of the 1st JSME/ASME Joint Int. Conf. on Nuclear Engineering, p.311 - 317, 1991/00
本発表は、既に特許申請を行ったPWR事故時の新しい冷却材保有量検出方法の有効性を明らかにしたものである。この検証は、ウェスチングハウス社型PWRを高さ方向実寸、容積比1/48で模擬するROSA-IV計画の大型非定常試験装置(LSTF)で実施された種々の小破断冷却材喪失事故(SBLOCA)実験に適用して実施した。対象とした実験は、TMI模擬実験を含む5つの破断位置効果0.5%破断実験、及び破断面積の大きい5%破断実験など14件である。本発表では、(1)1次循環ループ(PL)水位計挙動が原子炉容器水位低下の予知に役立つ、(2)PL水位と1次系保有水量との間に簡単な関係が成り立ち、保有水量検出に役立つ、(3)米国で開発し実施されている原子炉容器内の水位計は炉心露出の前段階で長い不感帯を持つ、等について述べる。
熊丸 博滋; 小泉 安郎; 刑部 真弘; 川路 正裕; 田坂 完二
86-WA/NE-8, p.1 - 6, 1986/00
大型非定常試験装置(LSTF)はPWRを、高さを同一にし、体積を1/48に縮尺した、小破断LOCA及び異常過渡事象実験用の総合実験装置である。このLSTF装置において、炉心出力が5% および、2% の状態で、1次系内冷却材が減少し、蒸気発生器ではリフラックス凝縮熱伝達となっている状況下で、蒸気発生器2次側水位を低下させ、その炉心冷却へ与える影響を調べた。その結果、炉心出力が5%及び2%の場合、2次側水位がそれぞれ10%、及び6%に低下するまで蒸気発生器は1次系冷却に有効に働いた。また、2次側水位下の1次系から2次系への熱通過率は2.51.0kw/mKであった。この結果は、PWRの蒸気発生器による冷却限界を検討する際に、有用な手掛りとなるものと考えられる。